料理の知恵袋
ごま大辞典
料理の知恵袋
栄養素の話
ビタミンCのお話

人類は、もちろん部分的にではありますが、過去数百年にわたってビタミンCの欠乏、すなわち壊血病に悩まされてきました。しかし、今世紀前半にCの本体が明らかになって以後、現在に至るまで数十年間は壊血病の脅威からほとんど解放されることになりました。最近では、ビタミンCをより多く摂取することによる、健康に対する積極的効果が主張されたりもしています。その前に先ず昔のことを振り返って見ましょう。

壊血病の記録と克服の歴史
13世紀
1535年
1747年
1907年
1920年
1928年

1932年
1933年
1933年
1979年
 
 

フランス十字軍が東方遠征のとき、壊血病に悩まされる。
イギリスのカーターらが北米大陸における越冬で壊血病を体験する。
イギリスのリンドが軍艦の乗務員にオレンジ、レモンを与え、壊血病を予防する。
ノルウェーのホルストらがモルモットを用いて実験的に壊血病を罹患させる。
イギリスのドラモンドが抗壊血病因子をビタミンCと呼ぶことを提案する。
イギリスのセントゼオルジーは牛の副腎から還元力の強い物質を結晶として分離。のちに、これがビタミンCと判明する。
アメリカのキングはレモン汁からビタミンC(アスコルビン酸)の結晶化に成功する。
イギリスのハワースがビタミンCの分子構造を明らかにする。
スイスのライヒシュタインがビタミンCの合成に成功する。
アメリカのポーリングらが「ガンとビタミンC」という本で、ビタミンCの大量摂取による健康に対する効果を強調する。

このように、人類は壊血病(歯肉から出血がある)を克服するために、研究を重ねてビタミンCが発見されました。

・体内におけるビタミンCの生理作用
ビタミンCは最初、壊血病を予防するビタミンとして発見されました。その後、日焼け防止(日焼けはチロシンというアミノ酸の酸化によって生じるメラミンが原因)に役立つなどともいわれたことがあります。 現在では、そのほかさまざまな病気の予防や健康促進に関与して機能していることが明らかになって来ました。ビタミンCの生理作用としては以下のものが知られています。
1. コラーゲンの生成(皮、骨、歯、腱などの結合組織を構成するタンパク質)に不可欠である。
2. チロシンの代謝に関与したり、メラミン色素の合成を抑制する。
3. 食品添加物や環境汚染物質などの生体異物を解毒する。
4. アミンと亜硝酸の食べ合わせによって胃や腸の中で生成する、発ガン物質であるニトロソアミンの生成を抑制する。
など、現代生活を健康に送るためには、これらの生理作用がおおいに期待されます。
・コラーゲンの生成を促進
ビタミンCは体内でコラーゲンというタンパク質を作るプロセスに必要な成分です。コラーゲンは、成人の場合で体内全タンパク質の30%弱を占めるタンパク質で、主に、「結合組織」の構成成分になっています。コラーゲンは、約1000分子のアミノ酸鎖が3本組合わさって出来ています。構成アミノ酸の中でも含有量の多いのがオキシプロリンですが、このオキシプロリンをプロリンから酸化反応によって作るのにビタミンCが必要なのです。ビタミンCが欠乏して壊血病になると、血管がもろくなり出血しやすくなりますが、これは、細い血管をしっかりさせるのに必要なコラーゲンが、ビタミンC欠乏の影響で不足したためです。外傷などに際しては、ビタミンCの供給を増加させると治癒が早まりますが、これもコラーゲンの生成を促進して先ず足場をしっかり作り上げるからです。ビタミンCが美しい肌を作るといわれるのも、ビタミンCのコラーゲン生成促進作用によるものと考えられます。
・感染症の予防と自然治癒力の増強

ビタミンCは感染症を予防するのに役立ちます。風邪ばかりでなく、そのほかの感染症の場合でも、発症は細菌やウィルスにより粘膜細胞が冒されることによるのですが、もしビタミンCが十分に存在すれば、風邪の場合と同じように修復が促進され、間が良ければはっきりと発症しないうちに治ってしまうこともあります。

・潜在的ビタミンC欠乏症のチェック
ビタミンCについて、私たち日本人はずいぶんいろいろな知識を持っています。確かに栄養素の中でも情報量に多いことではトップクラスといって良いでしょう。ビタミンC不足で起こる病気は壊血病ですが、壊血病の症状が出ないからビタミンCは足りていると自己判断するのは早計です。
野菜や果物などが自由に手に入る食環境にあっても、外食やテイクアウト食品を常時利用している現代人の食生活では不安があります。ビタミンCの健康増進に果たす役割を考えたとき、潜在的欠乏状態を起こさないという消極的レベルから進んで、パワーアップのエクササイズとしてビタミンCを積極的に摂取する事も大切です。
・健康的で美しい肌はビタミンCで

若い女性の間でビタミンCはいつも話題になっています。柑橘類のレモンやオレンジ、ミカンなどをたくさん食べたり、果てはビタミン剤を飲んで、透き通るような肌を期待しているようですが、残念なことに、ビタミンCだけに頼って肌の色を白くするのは無理なことです。 皮膚に張りを与え、色素の沈着を予防して、弾力のある生き生きとした健康的な肌を保ちためには、タンパク質、脂質、糖質を始め、バランスの良い食生活を送ることが前提で、その上で、ビタミンCをしっかりとることがポイントになります。

・ビタミンCと体とのかかわり
ビタミンCには種種の生体作用があります。
1. 体内に入った発ガン性物質の大部分は、肝臓の薬物代謝系で排泄されますが、この際ビタミンCが重要な働きをします。
2. ストレスに対する上手な対応は、現代生活をスムーズに送るのに重要なカギとなります。このストレスとビタミンCとの間にも深い関係があります。社会的、精神的、心理的ストレッサーだけでなく、食生活における最近の変化も化学的、生物学的ストレッサーになっています。高度に精製された食品、各種添加物の混合された食品、不規則な食事時間、アルコールやタバコへの依存、健康に対する過度の心配、深夜の活動、温度の急激な変化など、これらに対するストレス反応は副腎脂質ホルモン系を介して生体内にいろいろな変化をもたらします。
3. 喫煙常習者の場合は、白血球のビタミンCの潜在的欠乏症が起きているケースもあるといいます。これは、ストレス解消のためにタバコが生体内ではストレスになり、タバコの害をなくすために、かなりの量のビタミンCが消費されているからです。 従って、ストレスの多い人はビタミンCを多めにとる食生活が必要です。
・食事からとるビタミンCの摂取量の目安

ビタミンCの代謝回転率、吸収率などは個人差がありますが、一応一日の摂取量目安量としては50mgと決められています。(日本人の栄養所要量)その根拠は、ビタミンCの体内全量は1500mgくらいで、そのうちの3%、つまり45mgが日々代謝されると推定されていることによります。この45mgに吸収率・安全率を加味して50mgとなったわけです。 体内には、一ヶ月分くらいは貯えられていて、この量は性別・年齢にはあまり影響されないので、成人では50mgが一律になっているのです。

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